世界から周回遅れになる日本人の製品開発プロセス。日本の「減点型の完璧主義」と世界のトレンドの「加点型の完璧主義」
テレビをパナソニック製のプラズマテレビからハイセンス製の液晶テレビに、洗濯機を日立製からハイセンス製に買い替えました。家の家電も日本製がどんどん減っています。
東芝のテレビ部門はハイセンスの傘下の会社に買収されて、シャープも実質台湾の会社の子会社です。なぜここまで日本企業が凋落してしまったのでしょうか?
世界から周回遅れになる日本人の製品開発プロセス
今回はこの記事を参考にしています。
日本の「減点型の完璧主義」
誰もが満足するような商品開発をするので、尖ったものが出てこないのです。揚げ足を取りながら無難なものに仕上げるので、ライバルや競合などと横並びになってしまいます。
失敗してはいけないと恐れるあまり、日本製品は平凡で無難なありふれたものしか作れなくなりました。
日本では、あらゆるビジネスにおいて「最初から完璧」が目指される。ただし、ここで目指されるのは「減点型の完璧さ」である。尖ったビジネスアイデアの、新しくておもしろいが、リスクや穴のある要素は、早期に取り除かれやすい。魅力的に発展しうる要素を切り捨て、安全・無難で、これまでの延長線上の少し先にあるような、小さくまとまった新商品に仕上げられていく。
東洋経済オンライン(永井 竜之介 : 高千穂大学商学部准教授)
東芝で働いていたときに感じたのは、意思決定スピードの遅さです。打ち合わせを多く繰り返したり、上長が時間をかけて考えることにより、リスクヘッジをしていたわけですが、スピードが落ちていました。
職場研修で試験部門にいたときに中途採用で入ってきた方が、「報告書を上げても2週間経って何もチェックがされていない。この会社のスピードは遅い」と嘆いていました。その方は1ヶ月後には辞めており、3ヶ月で見切りをつけた形です。
アイリスオーヤマに転職された方を見ると、家電の開発で意思決定スピードが早いとコメントがありました。市場に投入しても売れていない製品もあることを考えると、10の商品を投入して、2〜3個当たれば良いと思うスピードがあるので、急成長しています。
世界のトレンドの「加点型の完璧主義」
世界では商品開発スピードが急激に上がっています。商品をリリースして改善するからです。
MVPとは、「最低限の価値を持った商品」を意味する。それを一度リリースしてみて、まずは市場の反応を見る。そして販売と並行して、市場の反応がよかった要素をさらに伸ばし、悪かった要素は優先的に改善してバージョンアップしていく。このサイクルをライバルよりも高速で実現できるか否かが、勝負を分ける。
東洋経済オンライン(永井 竜之介 : 高千穂大学商学部准教授)
競争力が低下する日本製
2022年1月時点の世界のスマホシェアのランキングです。
1位:Apple(アメリカ) 22%
2位:Samsung(韓国) 20%
3位:シャオミ(中国) 12%
4位 OPPO(中国) 9%
5位 Vivo(中国) 8%
https://www.excite.co.jp/news/article/OtonaLife_otona_life101619/
スマホの世界シェアでも、国内メーカーはシェアを落としており、「SONY」のXperia、「富士通」、「SHARP」といったメーカーは見る影もありません。
顧客からフィードバックをもらう開発の流れ
これからの商品開発では、市場に投入して駄目でも、市場からの反応がもらえて、改善案がもらえます。
- 想定外や予想外の使い方
- 自分たちでは見落としていたポイント
- さらに使い勝手をよくする機能
- ムダな機能
これを実際に行ったのがiPhoneです。
永遠のβ版のiPhone
一般的に、β版とは開発途中のものを指します。
iPhoneは未完成品として市場にリリースされています。日本初で登場したiPhone 3Gを使っていましたが、最初はガラケーにあったコピペ機能はiPhoneにはありませんでした。また絵文字もありませんでした。
市場の声、つまりユーザーの要望を受けて改善を取り入れていったのです。つまり未だまだ完全版のiPhoneは世の中にはないわけです。iPhoneは永遠にβ版なわけです。